山頭火『草木塔』を読む目次

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番号 年号 西暦 年齢
1

松はみな枝垂れて南無観世音

鉢の子 大正14年 1925年 43歳
2 松風に明け暮れの鐘撞いて
3 ひさしぶりに掃く垣根の花が咲いている
4 分け入っても分け入っても青い山
大正15年 1926年 44歳
5 しとどに濡れてこれは道しるべの石
6 鴉鳴いてわたしも一人
7 生死の中の雪ふりしきる
8 木の葉散る歩きつめる
9 この旅、果もない旅のつくつくぼうし
昭和2・3年 1927〜8 45〜46
10 へうへうとして水を味ふ
11 笠にとんぼをとまらせてあるく
12 歩きつづける彼岸花咲きつづける
13 まつすぐな道でさみしい
14 だまつて今日の草履穿く
15 ほろほろ酔うて木の葉ふる
16 しぐるるや死なないでゐる
17 張りかへた障子のなかの一人
18 水に影ある旅人である
19 生き残ったからだ掻いてゐる
20 わかれきてつくつくぼうし
昭和4年 1929年 47歳
21 れいろうとして水鳥はつるむ
22 どうしようもないわたしが歩いてゐる
23 分け入れば水音
24 すべつてころんで山がひつそり
25 捨てきれない荷物のおもさまへうしろ
26 法衣こんなにやぶれて草の實
27 岩かげまさしく水が湧いている
昭和5年 1930年 48歳
28 岩が岩に薊咲かせてゐる
29 水音といつしよに里へ下りて来た
30 墓がならんでそこまで波がおしよせて
31 酔うてこほろぎと寝ていたよ
32 また逢えた山茶花も咲いている
33 雨だれの音も年とつた
34 枝をさしのべてゐる冬木
35 笠も漏り出したか
36 うしろすがたのしぐれてゆくか
昭和6年 1931年 49歳
37 鉄鉢の中へも霰
昭和7年 1932年 50歳
38 多雨の石階をのぼるサンタマリア
39 ほろりとぬけた歯ではある
40 安か安か寒か寒か雪雪
昭和6年 1931年 49歳
41 ふるさとは遠くして木の芽
昭和7年 1932年 50歳
42 よい湯からよい月へ出た
43 しずかな道となりどくだみの芽
44 いただいて足りて一人の箸をおく
45 秋風の石を拾ふ
46 雨ふるふるさとははだしで歩く
其中一人
47 朝燒雨ふる大根まかう
48 草の實の露の、おちつかうとする
49 ゆふ空から柚子一つをもらふ
50 いつしか明けてゐる茶の花
51 水音しんじつおちつきました
昭和8年 1933年 51歳
52 落葉ふる奥ふかく御佛を觀る
53 ぬいてもぬいても草の執着をぬく
54 ひつそりかんとしてぺんぺん草の花ざかり
55 あるけばきんぽうげすわればきんぽうげ
行乞途上
昭和7年 1932年 50歳
56 あざみあざやかなあさのあめあがり
57 うつむいて石ころばかり
58 待つてゐるさくらんぼ熟れてゐる
59 水をへだててなごやの灯がまたたきだした
昭和8年 1933年 51歳
60 朝露しつとり行きたい方へ行く
61 笠をぬぎしみじみとぬれ
62 待つでも待たぬでもない雑草の月あかり 山行水行
63 月夜、あるだけの米をとぐ
64 水音のたえずしていばらの實
65 ここにかうしてわたしをおいてゐる冬夜
昭和9年 1934年 52歳
66 よびかけられてふりかへつたが落葉林
67 雪のあかるさが家いつぱいのしづけさ
68 ふくろうはふくろうでわたしはわたしでねむれない
69 柿の若葉のかがやく空を死なずにゐる
70 蜂がてふてふが草がなんぼでも咲いて
71 生えて伸びて咲いてゐる幸福
72 誰も来てくれない蕗の佃煮を煮る
73 ちんぽこもおそそも湧いてあふれる湯
74 食べる物はあつて醉ふ物もあつて雑草の雨
75 蜘蛛は網張る私は私を肯定する
76 青空したしくしんかんとして
77 百合咲けばお地蔵さまにも百合の花
78 草にも風が出てきた豆腐も冷えただろ
79 ここを死に場所とし草のしげりにしげり
80 重荷を負うてめくらである
81 何か足らないものがある落葉する
82 ともかくも生かされてはゐる雑草の中
83 月も水底に旅空がある
84 すわれば風がある秋の雑草
85 道がなくなり落葉しようとしている
柳ちるそこから乞ひはじめる
87 あるけば草の實すわれば草の實
88 飲みたい水が音たててゐた
89 山しづかなれば笠をぬぐ
90 残された二つ三つが熟柿となる雲のゆきき
91 なんぼう考へてもおんなじことの落葉ふみあるく
92 あなたを待つてゐる火のよう燃える
93 枯れゆく草のうつくしさにすわる
94 枯木に鴉が、お正月もすみました
昭和10年 1935年 53歳
95 伸びるより咲いている
96 ひつそり咲いて散ります
97 青葉の奥へなほ徑があつて墓
98 炎天の稗をぬく
99 てふてふもつれつつかげひなた
100 あるけばかつこういそげばかつこう
柿の葉
昭和11年 1936年 54歳
101 からまつ落葉まどろめばふるさとの夢
102 水音とほくちかくおのれをあゆます
103 わたしひとりの音させている
104 鴉啼いたとて誰も來てはくれない
105 ぬれててふてふどこへゆく
106 からむものがない蔓草の枯れてゐる
107 月からひらり柿の葉
108 けふは凩のはがき一枚
109 洗へば大根いよいよ白し
110 うどん供へて、母よ、わたしもいただきまする 孤寒 昭和13年 1938年 56歳
111 おのれにこもる藪椿咲いては落ち 孤寒
112 生える草の枯れゆく草のとき移る 『草木塔』以後 昭和15年 1940年 58歳

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